北向きの家具の引き出しに
袋に入ったパッキンひとつ
違う部屋には 飲みかけのワイン
酔ってみたけど ひとり

星降る里の待つ日には
千のまさゆめ見るという
やぶれた者のみ知る歌よ
悲しき愛の別れかな


余ったプリンに バニラ添え
甘く感じた 君との時間
戸棚に飾った 青い月の写真
君が好きだった月さ

雪降る里の待つ理由
はるかな風にきいてみる
あわれな者のみ知るひだを
撫でて泣かせるためという


下を向いてちゃいけないと
心のナビにしたがって
煩悩墓場にあのとき捨ててきた
欲望いくつか探す

星降る里の待つ日には
千のまさゆめ見るという
か弱き者の見る夢は
愛と嫉妬に穿(うが)たれていた

星降る里の待つ日には
千のまさゆめ見るという
やぶれた者のみ知る歌が
冷たい涙に濡れてゆく