わたしを買ってください
薄紅色のくちびるが紡ぐ
一晩だけでも買ってください

その手で愛でてください
貴方の膝で寝そべるわたしを
漆黒の髪 指で撫でながら

イヤらしい位が丁度いい
滑るように背中をなぞる舌
星の数だけ漏れる吐息

貴方は嗚呼...

例えるなら薔薇の花
抱きしめられる度に
白い肌に茨が喰いこむ
離れなくて痛みだけ
刻みこんでく貴方
戻れなくていいから 接吻(キス)して
見えない涙と切なさを
口移しで分け合いましょう

そして抱きしめて
わたしにとって
貴方のその腕の中が
桃源郷(らくえん)なの...

安い嘘はいりませぬ
泡沫の恋知りてなお焦がれ
狂おしいほど欲しがるのは愛

その眼(め)でわたしを映し
目蓋の裏に残れども それは
朧月夜が魅せた夢うつつ

愛しいと憎いが交じり合い
いっその事その息の根止めて
心中できれば幸せかも

知れぬと嗚呼...

果敢ないだけならばもう
抱かれた日々を数え
瞳を閉じ横たわりましょう
貴方の名を呼んでみる
届きはしないけれど
移ろいゆく運命を越えて
いつかまた逢える そう信じ
いくつもの時を生きてゆく

深く抱きしめて
わたしにとって
貴方のその腕の中が
理想郷(てんごく)なの...

廓(くるわ)を飛び交う
常夜の蝶は わたしの魂
貴方にたどり着くと
信じるも

浮世を彷徨う嗚呼...

例えるなら毒の花
くちづけ交わす度に
甘い蜜で躯が痺れる
離れなくて苦しみを
刻みこんでく貴方
戻れなくていいから 愛して
恋しい想いと哀しみを
口移しで分け合いましょう

そして抱きしめて
わたしにとって
貴方のその腕の中が
桃源郷(らくえん)なの...