愛さなければよかったと
後悔ばかり 吉野ヶ里
遺跡に埋もれた情念が
気球のように 空高く
佐賀平野に風が吹く
悲しい爪あと 稲穂に残して

ムツゴロウよりもかわいくて
ワラスボよりもいとおしい
泥にまみれて転がって
化けて出ようか あなたへと
佐賀平野に雨が降る
泣きたいこころを 水面(みなも)に映して

朝を呼ぶ声 潮の声
黒髪引かれて夫婦岩
磁器に染み入る 胸の丈(たけ)
起こさぬように 歩きます
佐賀平野に風が吹く
実り願ひて 今日も吹く