林檎の樹の下、幼き貴女
清らなる花模様の櫛に貴女が宿る
悠々と揺れ動く、時計の針のやうな
思ひに心急く

やさしく白き手を伸べる
貴女は林檎を手に取り渡す
この白き手に恋(こひ)宿りたり

月の出づる頃
貴女の髪の硬さ
林檎を食む貴女
赤き秋にも似た果敢なき瞳
それを思ひ返しけり

おのづからなる細道、青き貴方
出会ひ連ね、林檎の実結びたり
早々と駆け出す、隼のやうな
時間を惜しむ

貴方のため息、髪を靡かす
恋の酒を共に飲み干す
正午の冬香りたる秋

夜もすがら
貴方の鼻の高さ
変わりゆく背丈
青空にも似た麗しき瞳
それを思ひ返しけり

林檎畠の樹の下、青き二人
この細道を吾に問ひたる貴女
貴女は知りながら知らぬふりせり