カマキリ
⑴
なぜ生まれたのかもわからない
沢山の子供達と共に同じ卵から
無数のように見えた命も
鳥や虫や太陽に負けて
枯れ葉のように落ちてゆく
私は蟷螂(カマキリ)
食べるまでの時間もあるし
自分で餌を取らなくてはならない
命と命のせめぎ合い
少しだけ身体が大きくなった時
私の周りには誰も近づかない
友達も欲しくはないけれど
いつしか、食べ物としてしか見れない
私が卵を抱える頃にオス虫は
おずおずと身も心も捧げてくれる
私は蟷螂 物を見る目も複眼だ
ひとつの愛も数百に見える
真実はひとつなのに 私は蟷螂!