あの日は意として
髪を切り
疾走の勢いで
時は流れ
呼ばれた気がして
振り向けば
突風に目を閉じて
時が止まる

季節が着替えてゆく度
裸の月が照らすのは
白でも黒でもないけど
明星に口ずさむ歌



居座る気がかり
躊躇いと
特急に乗り込んで
距離が縮む
患部を騙して
振り切れば
吉報に嫌われて
立ちはだかる

痛みが痒みになる度
何処かで軋む音がして
慣れない煙草に火をつけ
明星に口ずさむ歌

渇いた光りが射す度
心の中は満ちるのに
呑めないお酒を空けては
明星に口ずさむ歌



悪人の顔して花の種を撒き
善人の顔して偽の武器を持ち
どれもひとつだけの同じ命
明日への鼓動を惜しまない



心が壊れてゆく度
綺麗な花が咲く様に
豊かに色づくはずだと
明星に口ずさむ歌

全てが幕を閉じる時
見上げる事を辞める時
続きが途絶えるその時
明星に口ずさむ歌