音もなくついてくる足跡に
僕は不安を抱く
人知れずついてくる足跡に
僕は恐れおののく

振り向くこともできず
震えることもできず

後ろから忍び寄る足跡に
僕はただ立ち止まって
ただ目をつぶって

心の闇は 足もとにも及ばない
無数の光が 宇宙を通り過ぎてゆくように

耐え切れず 僕は叫んだ
「もうたくさんだ 先に行ってくれ」
足跡も立ち止まって
静かに 諭すように言った
「それは無理です だってわたしは・・・
わたしは あなただから
あなたの足跡だから・・・」

音もなくついてきた足跡から
僕は少しの夢と希望を受け取り
かわりに多くの怒りと悲しみを渡した

そして前を向いて ゆっくりと歩きはじめた

もう震えなくていい
もう立ち止まらなくていい

そのときこぼした涙は 愛の証
すべてを慈しむ人でありたいと願う 心のしずく

いつか心に 温かな風が吹くまで・・・