優しい風に目を閉じると
時が止まる
呼びかける声に振り返ると
君の姿
傷だらけのプライドを
埃まみれの優しさを
身なりに惑わされることなく
その素手は覚えている本当の姿
時の流れは人の気持ちも変えるけれど
平熱で遺伝子で受け止められる
変わらない過去で
未来を変えるとして
君は今どこにいる



悲しい事に目を向けると
胸が動く
錆びかけた夢を拭き上げると
次の形
嘘ばかりのカレイドを
言葉足らずの幼さを
それでも見極めては正しく
ひとつずつ覚えてゆく本当の形
色の数だけ人の暮らしがあるのならば
苦しみも悔しさも塗り変えられる
踏まれない影で
光を作るとして
君は今どこにいる



種を撒いては人の噂に耳を立てて
偽りも騙し絵も差し替えられる
削れない月で
バルサを植えるとして
君は今どこにいる



道が別れて人は迷いに悩みながら
ひ弱さもしたたかに乗り越えられる
帰らない旅の
門出を祝うとして
君は今どこにいる



そして或いは割に合わない日々の中で
逆らいも従いも分け隔てなく
戻らない時を
スキルに出来るとして
君は今どこにいる